ナビ派とは？ 簡単に分かりやすく解説

ナビ派（Les Nabis）は、19世紀末のフランスで活躍した芸術家グループです。ナビ（Nabis）とは、ヘブライ語で「預言者」を意味し、彼らは新しい芸術の方向性を示す「預言者」として活動しました。代表的な画家には、ポール・セリュジエ、ピエール・ボナール、エドゥアール・ヴュイヤール、モーリス・ドニ などがいます。

ナビ派の特徴は、鮮やかな色彩、平面的な表現、装飾的な構成 です。印象派が光や空気感を重視したのに対し、ナビ派はゴーギャンの影響を受け、単純化された形や大胆な色使いで、感情や象徴性を表現しました。

ナビ派の魅力

1. 大胆な色彩と装飾性

ナビ派の作品は、強い色彩とデザイン的な構成が魅力です。ピエール・ボナールの柔らかい色彩や、モーリス・ドニの宗教的・象徴的な作品は、単なる風景画や肖像画を超えた深みを持っています。

2. 日常の美しさを描く

印象派が光を追求したのに対し、ナビ派は「日常生活の中にある詩的な美」を見出しました。エドゥアール・ヴュイヤールは、家の中の何気ない風景や室内の雰囲気を、独特の色彩と装飾的な背景で描いています。

3. 芸術と生活の融合

ナビ派の画家たちは、絵画だけでなく、ポスター、壁紙、家具のデザインにも関心を持ちました。アートを生活の中に取り入れる考え方は、現代のデザインにも通じるものがあります。

4. シンボリズムと感情の表現

モーリス・ドニは「絵画とは、現実の再現ではなく、色と形による装飾である」と述べました。彼らの作品は、感情や思想を色や形で表現する試みでもあり、抽象芸術への道を開いたとも言えます。

なぜナビ派は現代でも魅力的なのか？

ナビ派のアートには、感覚に訴える美しさ があります。絵画が「鑑賞するもの」だけでなく、「暮らしを彩るもの」としての役割を持つという考え方は、現代のインテリアやデザインにも影響を与えています。また、日常の何気ないシーンを豊かな色彩で表現するスタイルは、現代のイラストレーションやグラフィックデザインにも通じるものがあります。